職人とユーザーを繋ぐ、ビギンの新しいコミュニケーションスペース
岡山県児島で再興した、幻のT迷彩
どれだけトレンドが変遷しても魅力が褪せず、生涯ずっと居場所を失わない。そんな傑作品を微細に研究し、現代へと再生させるブランド、SCO(ソーイングチョップオールズ)。厳選したヴィンテージウェアを日本の職人たちによって、その知恵と技術を借りながら忠実に再現し、時にオリジンには足りない要素を加えながら、時代に即して進化させます。そんなSCOが着目したのが「Tパターンカモフラージュ」と呼ばれる迷彩柄。古着市場で人気が高騰し、ヴィンテージ好きの玄人たちから熱狂的な注目を集めています。タイガーでも、ウッドランドでも、リーフでもない。いま、T迷彩が注目を集める理由とは?
どれだけトレンドが変遷しても魅力が褪せず、生涯ずっと居場所を失わない。そんな傑作品を微細に研究し、現代へと再生させるブランド、SCO(ソーイングチョップオールズ)。厳選したヴィンテージウェアを日本の職人たちによって、その知恵と技術を借りながら忠実に再現し、時にオリジンには足りない要素を加えながら、時代に即して進化させます。そんなSCOが着目したのが「Tパターンカモフラージュ」と呼ばれる迷彩柄。古着市場で人気が高騰し、ヴィンテージ好きの玄人たちから熱狂的な注目を集めています。タイガーでも、ウッドランドでも、リーフでもない。いま、T迷彩が注目を集める理由とは?
世界に類を見ない技術力で、ヴィンテージウェアの歴史を継承&進化させ続けてきた岡山県発のアパレルブランドSCO。これまで培ってきた技術と叡智を発揮し、今季リリースしたのが“T迷彩”のジャケットとトラウザーズです。ヴィンテージを研究し続けるSCOが着目したT迷彩に迫ります。
ミリタリーからファッションとして定着したカモフラージュ。時代や国によって迷彩のパターンは様々ですが、最近にわかに注目されているのが“T迷彩(パターン)”。これはアメリカ軍が開発した“アーバン・テレイン(Urban Terrain)”と呼ばれる都市迷彩のひとつです。都市迷彩は市街戦での使用を目的としたもので、色は建物の瓦礫などを想定してモノトーンとなっているのが特徴。パターンはベルリン・カモフラージュの直線的なものと、一般的な曲線パターンをモノトーン化したものの2種類に分類されます。
アメリカ軍は冷戦中に都市地域軍事作戦(Military Operation on Urban Terrain/MOUT)用都市迷彩のカモフラージュスーツの研究を行ない、1980年代初頭にベルリン・カモフラージュに似た4色の直線パターンを開発しますが採用は見送られました。アメリカ軍が再度都市迷彩に注目するのは1990年代後半で、海兵隊がコマーシャル・ベースで販売されたウッドランド迷彩のモノトーン版ユニフォームを限定数購入してテストを実施。一方、陸軍も2色と3色の都市迷彩スーツを試作しテストを実施。海兵隊は1999年に実施した市街戦演習“アーバン・ウォリアー”で都市迷彩スーツをテストし、結果は良好でしたが最終的に海兵隊と陸軍は共に採用を見送りました。
正式採用されなかった、
その背景に制作意欲を掻き立てられました
こうして都市迷彩スーツはテストサンプル止まりとなったため、軍の放出品は希少で入手困難。しかし、ユニークな都市迷彩をこのまま埋没させるのは惜しい。SCOの企画生産を担当する、チームの思いから生まれたのがSCOの新作「T迷彩コンバット・ジャケット&トラウザーズ」です。
「生地メーカーが、古着のジャケットの素材を徹底的に解析し、ヴィンテージに用いられるコットンクロスを忠実に再現しました。豊かな風合いに加えて、やはり軍用のテキスタイルだけあって機能性も高く、軽やかだけどタフ、そして乾きやすいといった特徴を備えており、現代の実生活にも有用です。手前味噌ではありますが、非常に素晴らしい出来栄えで、ブランドの定番生地として今後も使い続けたいですね」
企画生産のT迷彩コンバット・ジャケット&トラウザーズのベースは、定番アイテムのジャングル・ファティーグ。ただし軍のスペックを忠実に再現するのではなく、時代に即したアレンジを加えて進化させ、ファッション性を付加。従来とは一線を画す独特の迷彩パターンは街着として新鮮に映ります。製品は全て岡山の本社工場で職人が一点一点縫製。ライトな生地による「よれ」感とヴィンテージ感が独特の風合いを醸し出します。図らずも都会にはまるT迷彩は、いまタウンユースに最もハマる名答です。
43歳、身長181cmの菅野さんが、ジャケット38サイズ、トラウザーズ32インチを着用。トラウザーズは裾にかけて太めのシルエット。シンプルな着こなしにモダンさも添えてくれる。飽きのこないデザインだからこそ、長く付き合えるひと工夫が嬉しい。ベーシックとトレンド、本物感もあってほしいけど街着としての過剰なスペックは要らない。そうした、いろいろなバランスの“ちょうどいい”を実現しました。
T迷彩生地を採用した、Begin限定販売のジャケットとトラウザーズ。本格ムードたっぷりの総柄迷彩ながら、SCOの実力派職人たちの微細なステッチワークによって骨太になりすぎず、キャッチーにキマるのが魅力。ライニングのない一枚仕立てなので軽やかに着ることができ、薄手のトップスに合わせるアウターとしてもちょうどいい。
今昔にわたり愛されるミリタリーの定番、ファティーグジャケット。機能性とデザイン性を兼ねる4ポケを備えた前身は、ポケット裏面に隠し縫製を入れて立体化。見た目はヴィンテージさながらですが、身幅や腕回りにゆとりのあるシルエットや程よい肩の落ち感など、無骨なディテールはそのままの今ドキイケメン顔に。ジャケットといっても綿100%のライトな生地感なので、春秋はTシャツやカットソーに合わせて、冬はニットをIN、またはアウターにINして着ても着太りして見えません。オリジンの雰囲気もありつつ気軽に着られます。
カーゴパンツという愛称でも親しまれるこのコンバットトラウザーズは、ファティーグパンツの3rdタイプがベース。現代的にややワイドにアレンジしつつ、岡山本社の実力派工場との二人三脚によって仕立てにも入魂。速度重視で大量生産されていたミリタリーパンツは元来平面的ですが、要所に隠しプリーツや芯地をあしらうなど、さながら高級スラックスのように緻密に仕立てることで見事に立体化。総迷彩柄でありながら、穿いた時のシルエットが絶妙すぎる!かくして雄々しくも品のあるトラウザーズに。カジュアルな装いのなかに品を求める大人はぜひ。
最後に
SCOのモノづくりは厳選した企画(元ネタ)を職人たちの元へ持ち込み、その知恵と技術を借りながらヴィンテージを時に忠実に再現し、時にオリジンには足りない要素を加えながら、時代に即して進化させます。さらに街着を考慮して付加される機能や使い勝手。これこそSCOが支持を集める理由です。もともと市街地ように作られたT迷彩は、図らずともタウンユースと相性抜群。皆が着るタイガーやダックハンターカモとも差がつき、定番コーデも新鮮な印象にうつります。そうした、いろいろなバランスの“ちょうどいい”を実現したSCOの新作。T迷彩のジャケット&トラウザーズには、SCOの分析力&アレンジ力が隠されていました。
写真/大見謝星斗 文/編集部
ソーイング チョップ オールズ
Sewing:縫製 Chop:意匠・品質 O’alls:作業着・衣服
1990年代に日本で起こったヴィンテージブーム。岡山県児島を聖地とするデニムが流行し、JOHNBULLは【Sewing Chop O'alls/ソーイングチョップオールズ】をスタート。しかし、ブームの衰退、トレンドの変遷と共に同ブランドも縮小、休止。ヴィンテージアイテムの知識や技術も次第に廃れていきました。あらためて"今"JOHNBULLが提案するこれからのNEO VINTAGE。本物が持つ素材・ディテール・縫製・仕様が醸し出す佇まいに注目したシリーズとして、【Sewing Chop O'alls/ソーイングチョップオールズ】をリスタート。効率を重視される現代の価値観からは非常識と取られる手法を肯定し、一からのモノ作りの復活を目指します。「確かな知識、技術で創造されたワードローブ」をリリースするブランドです。
■ サイズスペック
コンバットトラウザーズ
サイズ | ウエスト | ヒップ | ワタリ | ヒザ | 裾 | 股上 | 股下 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
28 | 77 | 108 | 36.3 | 28.2 | 23.7 | 0.0 | 72 |
30 | 82 | 113 | 37.5 | 29.0 | 24.5 | 28.5 | 74 |
32 | 87 | 118 | 38.8 | 29.8 | 25.3 | 0.0 | 76 |
34 | 92 | 123 | 40.0 | 30.6 | 26.1 | 1.0 | 76 |
コンバットジャケット
サイズ | 着丈 | 肩巾 | バスト | 裾まわり | 袖丈 | 袖巾 | 袖口巾 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
36 | 75.5 | 46 | 121 | 124 | 61.5 | 61.5 | 28.5 |
38 | 77.5 | 47.5 | 125 | 128 | 63.5 | 62.0 | 29 |
40 | 79.5 | 49.5 | 131 | 134 | 65.5 | 62.7 | 29.5 |
42 | 81.5 | 51.5 | 137 | 140 | 67.5 | 63.3 | 30 |
編集後記
ビギンファンディングで2回目となるSCO。前回の“白いM-51”は私も購入したのですが、ウエストがやや緩い……(嬉しいことにw)。そこでジョンブルの菅野さんにお直しを依頼しました。なんと、縫製職人さんがわざわざお直しして下さったのですが、全体のバランスを損なわないよう、ウエスト部分以外も微妙に調整されていました。もちろん、詰めた形跡は微塵も残っていません。もしかしたら、製品を作るよりお直しの方が難しいのでは……と、安易にお願いした自分を反省。原稿だって、一から書くより書き直す方が何倍も難しいんです。と、この原稿をリライトしながら、改めて職人さんにお礼を伝えさせていただきます。(バイヤー・ウラヤマ)
応援募集中(販売中)の企画はこちら。未来のヒット商品になる!?プロジェクトをお見逃しなく!
PAGE UP
購入する入荷お知らせ申し込み