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「ユーザーも産地もみんなが笑顔になれたら最高だよね」と2021年6月にスタートした和歌山大莫小。日本最高峰のニッターが再び集い、第2章がいよいよ始まりました。前回の「白T」に続いて、今回選んだお題は「グレースウェット」。男女を問わずカジュアルの大定番であり、シンプルゆえに素材の違いがはっきりと現れるこのテーマに対し、各社の想いがこもった11着が完成しました。「普通ではまずお目にかかれない」とスウェット通を唸らせ、袖を通した人を満面の笑みにさせる“看板”揃いのラインナップは間違いなくここでしか出会えません。ぜひこの機会をお見逃しなく!
和歌山が丸編みニットの“聖地”と呼ばれる理由は、約40%という日本最大のシェアを誇ることに加えて、もう一点、“世界でもここでしか編めない生地があるから”です。和歌山でニットが作られるようになったのは1909年、スイス製丸編み機5台を輸入したのが始まりです。丸編み機は、円筒型のシリンダーに針がびっしり並ぶ構造で、回転しながら筒状に生地を編み立てます。伸縮性に富むソフトな風合いが特徴ですが、驚くべきことに和歌山では、100年前の吊り編み機から、最新スーパーハイゲージマシンまで、あらゆる時代の丸編み機が稼働しています。世界中で和歌山にしか現存しない機械も珍しくなく、ニッターは会社の壁を越え連携しながら、じつに様々な生地を国内外へ提供してます。
今回テーマに選んだ「グレースウェット」は、そんな個性豊かな和歌山ニッターの特長がストレートに反映されるアイテム。何と言ってもスウェットに使われる“裏毛”素材は丸編み機が最も得意とする生地ですし、グレーは同じ定番色の黒や白と比べても、糸選びに染め、整理加工など、様々な工程を通してニッターの個性をもっとも表現できるカラーです。着る側からしても、グレーのスウェットは春秋冬と使えるし、もしかしたら白Tシャツより使用頻度が高いかもしれません。参加ニッターも11社に増え、よりパワーアップした「和歌山大莫小」。11種のグレーが織りなすニットの真骨頂、この企画だからこそ誕生した“聖地のスウェット”を、ぜひ体験してみてください。
今回の和歌山大莫小には、クルーネックとフーディの2タイプがあります。デザインを担当したのは国内外のブランドで活躍し、数々のスウェットを手がけてきた馬場賢吾氏。氏に「”今日も10年後も着たい”最も王道なシルエット」とリクエストし、こちらが完成しました。
開発担当者も着て思わず驚いてました。上品すぎる光沢感に
素材:エイジングコットンハイウェット裏毛
実際のヴィンテージと比べて、およそ1オンスは軽くなっています
素材:あまいごま塩
次、同じことをやってくださいと言われてもできません。この価格では
素材:SUNDAY TERRY
採算はいったん置いて、限界に挑戦しました
素材:40Gスペースニット
横編みはセーター、丸編みはTシャツ・スウェット、その常識を覆したかった
素材:丸横ハイブリッド天竺
これを昔、チャンピオン裏毛と呼んでいた
素材:アメリカントップ
染色&乾燥工程にも"旧式吊り編み機"が存在するんです
素材:しふく染
2回目があるなら“友達”を作れたら面白いと考えたんです
素材:つんじゃーる
力合わせたら、こんなに良いものができるというメッセージ
素材:GRラフィーやーん
心が弾む、気分が高まるようなものを作りたかった
素材:幸せの黄色いスウェット
結果的に大成功!! 圧倒的にパーカーに合う素材でした
素材:暖々大莫小
和歌山のニッター各社によって構成される“和歌山ニット工業組合青年部の有志”と『Begin』が手がける、和歌山のニットの魅力を世界に発信するプロジェクト。アメリカのUNION MADE(アメリカの労働組合である「ユニオン」の組合員が作った製品であることを示す表示で、消費者にとっては品質保証の意味合いがあった)をイメージし、その時々のテーマに沿って、参加ニッターが思い思いのニットを開発、同じ形の製品に落とし込む。普段はOEMを手掛けることが多い各ファクトリーの「個性」や「想い」が炸裂する。第2弾となる今回は「グレースウェット」。ちなみにタイトルの「大莫小」(だいばくしょう)は、ニットを表す古い言葉「莫大小」(メリヤス)から。ユーザーもニッターも、みんながハッピーにという願いが込められている。
まずはクルーネックとフーディ2つの共通点から。素材の良さを引き出し、各ニッターの特徴を比較できる「ミニマルなデザイン」がテーマとなりました。ボディは着る人を選ばない、程良くゆとりのあるモダンなシルエット。1950年代に米国で大学名をプリントしたそれが学生たちの間で人気となり、今日までタウンウェアとして受け継がれてきたスウェットを、現代の解釈でアップデートすることを意識し、脇下のリブや、衿ぐりのVガゼットといったクラシックなディテールはあえて排除しました。これは当時の生地に、洗濯時の縮みや、伸縮性といった問題があったため生み出された工夫で、こういった課題を和歌山産の生地は十分クリアしており、装飾的なデザインは必要ないと考えたからです。機能的な設計点を挙げると、衿リブ付け、裾リブ付け、アームホールは、またぎ二本針ステッチで頑丈な作りに。後衿ぐりには表地と同じ背当てを着けて上質に仕上げています。裾のシルエットは腰の留まり位置を調整できるサイズ感にし、ユニセックスで着れるパターンに。「和歌山大莫小」のブランド織ネームは、高級感のあるグログラン組織で、ミシン縫いではなく手付け4点留め始末を採用しました。左脇のピスネーム、通称「オレンジマウス」は和歌山の特産物からイメージしたカラーリングで、スマイルマークがモチーフとなっています。
クルーネックは、ややタイトめの衿ぐりで、リラックス感のあるユルさよりも、少し緊張感が漂うインテリジェンスを意識した設計に。Tシャツはもちろん、シャツの上からも着られるよう、カジュアルさを残しつつ、横編みセーターのような上品な雰囲気に仕上げました。
フーディは、防寒機能を残し、しっかり被れるサイズ感のフード、スピンドルは無くても様になるミニマルなデザインに。必要であれば、好きなものを入れてもらえるように中央の仕切りはあえてつけずに、一般的なものよりやや大きめのカンガルーポケットがポイントです。
左脇に挟みこまれたピスネームは和歌山の特産物からイメージしたカラーリングで、スマイルマークがモチーフ。
平野佑磨
学生
着用サイズ:M(168cm)
大館千春
事務
着用サイズ:L(170cm)
溝端彩花
薬剤師
着用サイズ:M(161cm)
岩田真衣
事務
着用サイズ:L(155cm)
大西智貴 / 真野丈瑠
学生
着用サイズ:L(170cm) / L(176cm)
辻林利江
事務
着用サイズ:L(164cm)
吉田衣里
管理栄養士
着用サイズ:L(157cm)
大硲神
ウェブ・グラフィックディレクター
着用サイズ:M(172cm)
矢部朱音
焼肉店経営
着用サイズ:L(170cm)
南方英紀
工場長
着用サイズ:M(179cm)
鈴木誠
工場長
着用サイズ:L(177cm)
玉木竜也
エンジニア
着用サイズ:L(175cm)
森田あきのり
自由業
着用サイズ:L(168cm)
木村尚博
しらす創り 山利 七代目
着用サイズ:L(170cm)