「莫大小」と書いて
「メリヤス」と読む。
この古風な言葉は、機械で編んだニットの総称で、主に、肌着や靴下、ジャージー素材など丸編み製品を指す。靴下を意味するスペイン語の「メディアス」もしくはポルトガル語の「メイヤス」が語源とされ、明治時代、伸縮性に優れた特徴を表す「莫大小」の三文字が当てられたそう(莫は「ない」を示す否定語で、大小の区切りが必要無いほど伸び縮みするという含意)。そんなメリヤス(丸編みニット)の国内最大産地が和歌山だ。和歌山湾沿岸、紀三井寺駅周辺に広がる丸編み工場の密集地、通称「莫大小通り」を始め、市内には老舗ニッターが点在し、国内外のメゾンやメーカーへ生地を提供。横の繫りも強く、最近では各工場が強みと特徴を活かしたファクトリーブランドの立ち上げを進めている。そんな中、和歌山ニット工業組合青年部の有志とBeginの手がけるプロジェクトが始動した。その名は「和歌山大莫小」(わかやまだいばくしょう)。アメリカのユニオンメイド(アメリカの労働組合である「ユニオン」の組合員が作った製品であることを示す表示で、消費者にとっては品質保証の意味合いがあった)をイメージし、組合青年部に所属する有志のニッター10社がイチオシのニット生地を作り、白Tへ落とし込む。青年部では以前から定期的に議論を重ね、共同で展示会へ出店するなど、下請け生産地に留まらない、ニット製品のブランド構築を志してきた。その活動がコロナ禍で止まり、何かみんながハッピーになることをやりたいという想いでスタートしたのが今回の企画。この危機を乗り越え、新しいステージでみんなが思い切り笑える日まで。ロゴにはそんな希望が込められている。

Tシャツは肌と直接触れ、風合いをダイレクトに感じるアンダーウェアの側面と、コーディネイトの主役になるアウター要素を合わせ持ち、素材の魅力を伝えるにはぴったりなアイテム。シンプルでいて、それぞれが独特の個性とムードを放ち、和歌山ニットの奥深さを感じる全9種。袖を通せば、きっと着る人を笑顔にする「和歌山大莫小」あなたはどれを選ぶ?
ニットの聖地・和歌山ニットの聖地・和歌山
日本の丸編みニットの約40%を産出し国内1位を誇る和歌山のニット産業。綿やウールといった天然素材の扱いを得意とし、伸縮性に富むソフトな風合いは、古くからインナーウエアやベビーウエアに使用されてきた。その起源は、1909年、楠本藤楠氏が和歌山市小野町にスイス製丸編み機5台を導入して事業を始めたことと伝えられる。大正時代、第一次世界大戦をきっかけに「紀州ネル」の起毛加工方法を応用した綿メリヤスが飛躍的な発展を遂げ、全国一の丸編みメリヤス産地へ成長。昭和30年代には「ジャージ生地」と呼ばれる合繊メリヤス生地が開発され、婦人服、子ども服、スポーツ衣料などのジャンルで一大ブームを巻き起こし、1964年の東京オリンピックでは日本人選手が着用し名声を博す。現在は60社以上のニッターが活動。各工場が所有する機械の違いを活かし、個ではなく産地全体で連携しながらモノづくりをする企画提案型産地として、日本はもちろん、世界に向けて魅力ある生地を創造・発信している。
商品
STANDARD FIT
LOOSE FIT
2つのシルエット
和歌山大莫小では、スタンダードとルーズフィット2つのシルエットがあります。意匠性のある素材、丸胴、横編みなど、適度なフィット感があり着心地の良いものはスタンダードフィット。程よい肉感、硬さや張りのある素材、また大きいシルエットで包まれたら気持ち良さそうな素材にはルーズフィットを採用しました。両方ともパンツインしても着やすいよう一般的なシルエットより着丈をわずかに長めに設定していますが、基本は、アメリカから始まるTシャツの源流にイメージソースを置き、シンプルで素材が主役になるようデザインしました。細部の縫製もほつれにくい仕様になっており、着用することで生地の経年変化も感じられます。
クリックして拡大