STRONG BASIC
今【無印良品】が力を入れる素材“カポック”とは? 可能性を秘めた未来素材に注目!
無印良品に訊いた
過去から繋ぐ未来素材“カポック”って?
サステナブルなんて言葉が生まれるずっと前から、自然由来の原料に注目してきた無印良品。オーガニックコットンを取り入れたのも約25年前というから驚きます。
そんな無印良品が今、力を入れているのが“カポック”という天然素材です。未来素材を探るべく、産地開発担当の樋口さん、岡田さんにお話を伺いました。
\KAPOK/
「カポックの繊維は軽く、コットンの1/8の重さしかありません」
―(手に取り)確かに!
「軽さの理由は、中空構造の繊維で空気を含んでいることです」
―ということは、吸湿性や放湿性が高いってこと?
「一年を通し快適に使えますね。綿や麻は収穫のたびに幹ごと伐採しますが、カポックは農薬も肥料や水やりもほぼ不要で、ぐんぐん成長し、実を収穫するだけ。樹齢も長く環境負荷が小さいんです」
―まさに、持続可能な資源!
「化学繊維の普及により詰めもの用の中綿としての需要がなくなり、林が長年放置されていたことを知り、活用できないかと考えました。当初はクッションの中綿として商品化しましたが、それから2年ほどかけて糸にする技術を開発し、綿と混紡した糸を使用した商品を発売しました」
1.
ジャワ島にあるインドネシアの国有林のカポックを使用。3~5年で背丈が15メートルほどになる。8〜9月の収穫時期には、1本の木から約350個のカポックの実が取れる。
2. 3.
バナナより2周りほど大きい実を割ると中に糸の元となる繊維質のワタがぎっしり。紡績に使える繊維の長さのものは全体の3割ほど。
4.
Tシャツ1枚当たり使用するカポックは150g前後。1つの実から取れる紡績に適した繊維は8gほどなので、1枚あたり約20個の実が必要。
木の実から作ったカポック混
コーデュロイジャケット
世界で最も軽い繊維のひとつというだけあり、コーデュロイとは思えない圧倒的な軽やかさ。なめらかな手触りの細畝のショート丈は、秋モードへのシフトに最適です。アフリカ産のコットンを混紡しています。5900円(無印良品 銀座)
木の実から作ったカポック混
デニムストレートパンツ
カポックとオーガニックコットンの混紡デニムは、一般的なデニムと比べ軽くてしなやかな履き心地。さらに生地のふくらみと光沢感が上品な印象です。トップスを選ばない、美シルエットのストレート。各3900円(無印良品 銀座)
連載
STRONG BASIC
1950年代当時、ハリウッド俳優はテーラードスーツが主流の時代、スウィングトップ、Tシャツ、デニムという、LaLa Begin的にも大好きな、ベーシックなカジュアル姿で異彩を放った俳優ジェームス・ディーン。異端児ともいわれましたが、きっとそれが「自分らしい」と思っていたから着ていたのだと想像します。着ていることが心地よくて、自身が魅力的に映る服。きっと彼はそのことをわかっていてそのスタイルを貫いたのでは。そんなディーン先輩がこんな言葉を残しています。「優しさこそ、本当の強さだ」。便利、快適、上品、万能。いろんな強さとともに、これからの自分にそっと手を差し伸べてくれるストロングベーシックを、いざ探しに!
連載目次はこちら
※掲載内容は発行時点の情報です。
[LaLa Begin 2024年 AUTUMN号の記事を再構成]photo: Keiichi Suto, Kousuke Matsuki, A yako Kubota, Saori Fushimi, Shunsuke Musashi, Saori Nakajima text: Shinji Hashimoto, Mikiko Manaka, Shinsuke Isomura, Aki Ma ruyama, LaLa Begin styling: Makoto Fukuda, Aki Nitta hair&make-up: Miyuki Nakamura, Kei Yamazaki model: Saya Ichikawa, Akari Ushioda, Yoshiaki Takahashi illustration: TOMOYA