STRONG BASIC
あらためて知りたい“トラッド”って? SHIPS・三井田悦子悦子さんに聞きました!
自分らしさを更新するならトラッドという選択
不変と言われるトラッドですが、じつは次なる自分らしさへの挑戦を可能にしてくれるものであると話すのは、SHIPSで40年以上勤務し、今もディレクターとして活躍する三井田悦子さん。ベーシックを大事にしてきた三井田さんから、トラッドが長く愛せて、毎日のファッションに必要であることを教えてもらいました。
永世定番の英国製ブルゾン、バラクータのG9を主役に。ほんのりレディなボウブラウスも、味のあるボーイな佇まいに仕上げるトラッドな名作。
バラクータのスイングトップ5万9400円(バラクータ カスタマーサービス) バレナのデニムブラウス4万8400円(エリオポール代官山) オアスロウ × ビームス ボーイのデニムパンツ2万8600円、ハイランドツイードのストール6600円(ビームス ボーイ 原宿店) アー・ペー・セーのバッグ6万1600円(アー・ペー・セー カスタマーサービス) ジュガードフォーティーンのメガネ9900円(ティータイム) イリスフォーセブンのイヤリング1万2100円(フーブス)
トラッドをこよなく愛し続けるレジェンドファッション賢者に聞く
あらためて、What is トラッド?
SHIPS Primary Navy Label
クリエイティブアドバイザー
三井田悦子さん
1980年シップス ウィメンズスタート時より店舗スタッフ、企画バイヤーを経て、現職。銀座のSHIPS Primary Navy Labelは、自身のワードローブそのもの。
学生の頃からタータンチェックやボタンダウンシャツなど自然とトラッドなものが好きで、自分にとってはもう肌のようなものですと語る三井田さん。長い年月を経て見出されたトラッド観とその楽しみ方について、教えていただきました。
「私自身はトラッドを、アメリカン、フレンチ、そしてブリティッシュの3軸で整理して考えています。アメリカントラッドやフレンチトラッドに関しては、アンソニー・パーキンスのボタンダウンシャ小ツの着方やジェーン・バーキンのトレンチスタイルなどが大好きで、古い映画に強く影響を受けました。ブリティッシュトラッドについては、今でもシップス 銀座店のメンズフロアを覗いて、そこで見た英国柄のネクタイから着想を得てスカートにしたり、モノづくりのヒントにしています。」
トラッドは大きく分けるとこの3つ
「アイビーのアメトラ、ジェーン・バーキンも愛用したバスクシャツなどのフレンチ、英国的クラシックの3つが、トラッドをイメージするときのベースです」
「でもそれだけでなく、トラッドを大きく捉えると、ウエスタンやワークウェア、それにエスニックなものなど、何かルーツや伝統のあるものはトラッドと言えるのではないでしょうか。」
アイビーだけでなくミリタリー、 ワーク、 エスニックなどルーツがある服もトラッド
「たとえばエスニックなワンピースやカーゴパンツ、ウエスタンブーツなど、物のルーツや伝統を感じさせるアイテムもトラディショナルな服のひとつと言えます」
「そういうルーツのあるものだから、今らしく自分らしくアレンジして着こなしても、スタイルがぶれずにいられますよね。ストリートでもモードでも受け入れてくれる懐の深さもあり、レディスの服を着るときでも、足元は男の子っぽいチャーチの靴を合わせたり、トラッドな物を引っ張ってくる自分がいます。トラッドを軸にすると、スタイルがぶれなくて安心。そういう意味で、まさにトラッドはストロングベーシックです」
トラッドの着こなしのポイントは?
「ロマンティックな服を合わせるなど相反するモノと組み合わせたり、あえて大きいサイズで外すなど、遊びを楽しみます」と三井田さん。普段特にベースにしているという紺ブレ、ボタンダウンシャツ、ローファーの3定番について次の記事で楽しむポイントをご紹介!
連載
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1950年代当時、ハリウッド俳優はテーラードスーツが主流の時代、スウィングトップ、Tシャツ、デニムという、LaLa Begin的にも大好きな、ベーシックなカジュアル姿で異彩を放った俳優ジェームス・ディーン。異端児ともいわれましたが、きっとそれが「自分らしい」と思っていたから着ていたのだと想像します。着ていることが心地よくて、自身が魅力的に映る服。きっと彼はそのことをわかっていてそのスタイルを貫いたのでは。そんなディーン先輩がこんな言葉を残しています。「優しさこそ、本当の強さだ」。便利、快適、上品、万能。いろんな強さとともに、これからの自分にそっと手を差し伸べてくれるストロングベーシックを、いざ探しに!
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※掲載内容は発行時点の情報です。
[LaLa Begin 2024年 AUTUMN号の記事を再構成]photo: Keiichi Suto, Kousuke Matsuki, A yako Kubota, Saori Fushimi, Shunsuke Musashi, Saori Nakajima text: Shinji Hashimoto, Mikiko Manaka, Shinsuke Isomura, Aki Ma ruyama, LaLa Begin styling: Makoto Fukuda, Aki Nitta hair&make-up: Miyuki Nakamura, Kei Yamazaki model: Saya Ichikawa, Akari Ushioda, Yoshiaki Takahashi illustration: TOMOYA