偏愛レボリューション
食べ歩き歴15年以上の【ナポリタン愛】について聞きました! 好きを長く続ける秘訣とは?
[LaLa Begin2022年 4-5月号の記事を再構成]
偏愛レボリューション~Vol.12「ナポリタン」イートナポさん
赤いギンガムチェックのテーブルクロスに銀のお皿、そしてこんもりと盛られたナポリタン。それだけでワクワクしてしまうのは私だけでしょうか(形から入るタイプ)。そんな喫茶店の定番メニュー、ナポリタンをかれこれ15年以上食べ歩きし記録し続けているのが今回の偏愛ビト、イートナポさんです。
さぞかし熱いナポリタン愛がケチャップのごとく飛び散るかと期待していた我々に「でもまぁナポリタンって結局どれも同じですから」と、のっけから予想外の回答が。ますます気になる! 詳しく聞くとそれは、一時期の“ハマる”で終わらない、趣味を長く続けるヒントでもありました。
奥深さとか考えません だいたいどれも一緒なんで
いきなりですが、今現在で累計どのくらい食べたか把握してますか?
「今はもうよく分かんないです。最初とりあえずキリのいい数字で1000いけば金字塔になるかなと思って、月に100食以上は夢中で食べてました。2000食ぐらいまではカウントしてたんですけど、その後だんだんペースが落ちて、今はもう年に100食も食べてないと思うんで恥ずかしくて数えてないですね。っていうか、普通はナポリタンを食べるのって年数回ですから、冷静に考えるとすごい食べてますね」
「ピーマンがあるかないか、みたいなことにはこだわりなし。ハム、ベーコン、マッシュルーム、具材はファジーでいい。強いて言えばウィンナー入りは好き」
谷中ビアホール
住所:東京都台東区上野桜木2-15-6 上野桜木あたり
電話番号:03-5834-2381
もともとナポリタンが好きだったんですか?
「当時はひとつのテーマで淡々と食をアップする系のブログが流行ってて、仕事で外回りしてたので喫茶店に入ることも多いから、それで。休日はこれから行く街のナポリタンを食べログで1つだけ調べておいて、あとはぶらぶらと歩いて見つけるたびに入って食べて入って食べて、結局その店にはたどり着けないなんてことも。個人経営の店だと次来たときにあるか分からないので、1日3〜5食ぐらいハシゴする日もありました。でもそういう時に限っておばちゃんが優しさで『大盛りにしといたよ〜』って笑」
路面スパゲッティの略。茹で置きした麺を炒めるのでファストフードのように早く、またデカ盛りなのも特徴。スパゲッティーのパンチョなど、専門店も日本各地に。
スパゲッティーのパンチョ 新宿南口店
住所:住東京都渋谷区代々木2-9-5 新宿テラス B1F
電話番号:03-6276-8612
街をぶらついて何となく入ったお店でめいいっぱい食べる、それってリアル『孤独のグルメ』じゃないですか! ちなみに美味しいお店って店構えとかで分かったりするものですか?
「100食ぐらい食べたあたりからなんとなく第六感みたいなものが働くようになりました。だから時々まれに大ハズレがあるとむしろ嬉しかったりして、結果的にたどり着いたのが、店名に“パピプペポ”が入ってるお店はだいたい旨い説です」
ナポリタン好きにとっての聖地、新橋にはカフェテラス ポンヌフ等数々の名店が。
カフェテラス ポンヌフ
住所:東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館
電話番号:03-3572-5346
素ナポ、ロメスパ シャツに飛ばない系
なるほど! たしかに超名店・ポンヌフもそうだし、ナポリタン専門店として人気のパンチョもそうですね。味の違いや好みはありますか?
「味というよりスタイルなんですけど、会社員なんでビジネスシャツに飛び散っちゃうのが嫌で、いつからか、焦げちゃうギリギリまでしっかり炒めた超スーパーハードな“シャツに飛ばない系”を好むようになりました。そうじゃない、いかにも飛びそうなタイプの時は、粉チーズをたっぷりかける対策をしたりします。でも基本はそのお店の流儀に従って、飛んだら飛んだで」
お取り寄せで人気の麺「たかさごのナポリタン」(高砂食品)を使って、シャツに飛ばない系に挑戦! 炒めまくったナポリタンにたっぷりの粉チーズ、最高!
ちなみに今まで印象に残ったナポリタンってありますか?
「今はもう販売してないんですが、ガストのメンチカツ乗せのナポリタンが衝撃でしたね(下写真)。レギュラーメニューにして欲しいくらい」
ガストの〈鉄板ナポリタンとビーフチーズINメンチカツ〉(現在は販売終了)。ちなみに下に敷かれた具材のない炒めただけのナポリタンを“素ナポ”と呼んでいる。
ここ最近はナポリタン生活も変わりましたか?
「コロナ禍で喫茶店の倒産が増えたり、材料費の高騰できびしいニュースが多い中、新橋のポンヌフさんがテイクアウトを始められたというニュースに心躍りました! 僕にとってあの場所は原点というか、今でも一番足を運んでしまう店なので。すぐにテイクアウトして自宅に持ち帰ったんですが、匂いがプンプンしちゃって電車の中で大変でした笑」
ケチャップナポリタンの元祖、横濱センターグリルの味を自宅で作れる。(日本製麻)
今は食べ歩きのペースもだいぶ落ちてるとのことですが、ここまで長く好きが続いてる理由ってありますか?
「あんまり奥深さとか、定義とか、こだわりとか持たないことですかね。他に趣味とかないので、老後にこの趣味だけ残っててくれればいいかなーぐらいの。食べ歩きって健康な活動なので、末長くやっていけたら。まだ47都道府県全てには行けてないので、それをゆっくり制覇したいですね」
「ナポリタン」という名前の食べ物はフランスにもあるのだそう。
イートナポさん
営業マンとしてあちこち駆け巡りながら、合間をぬってナポリタンを食べ続けて15年以上。ブログ『ナポリタン×ナポリタン』では全国のナポリタンをこまやかにリポートしている。
2013年には『日本全国懐かしくておいしい!ナポリタン大図鑑』という本も出版しました。
調査報告
「今までテーブルクロスなんて視界に入ったことないです」と昨今の喫茶店ブームでナポリタン人気が再燃してることに驚かれていました。変にこだわったり誰かと数や知識を競ったりしない、それが飽きずに(いやむしろ途中でちょっと飽きても?)やめないで続けていけるコツなのだなぁ。
偏愛調査員
オモムロニ。
雑貨コーディネーター。ユニークでグッドデザインな日用品や手みやげのセレクトが得意。偏愛ジャンルは、プロ野球、ハロプロ、猫。著書に『DAILYGIFTBOOK気持ちが伝わる贈りものアイデア』(文藝春秋)がある。Instagram:@omomuroni
連載
偏愛レボリューション
偏愛は毎日をちょっと楽しくする小さな“革命”! どんなにマニアックだとか、ファン歴なんて関係ないのです。いつの間にか夢中に……あぁ、“好き”があるってしあわせ。そんな偏愛ビトをレポートします。
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※一部の写真や情報は、ブログ『ナポリタン×ナポリタン』に掲載された当時のものです。
※掲載内容は発行時点の情報です。
[LaLa Begin2022年 4-5月号の記事を再構成]写真/押尾健太郎 インタビュー・文/オモムロニ