偏愛レボリューション
あるあるネタに共感の嵐!【現実を生きるリカちゃん】って? 偏愛ぶりを調査!
[LaLa Begin2022年 2-3月号の記事を再構成]
偏愛レボリューション~Vol.11「リカ活」YouTube『現実を生きるリカちゃんねる』管理人さん
大人も……いやむしろ大人が楽しむリカちゃん人形の着せ替え遊び「リカ活」をご存じですか。最新のおしゃれな服や小物でかわいくキメたリカちゃんが映えスポットでニコッとほほ笑む、素敵写真がインスタには既に10万件以上投稿されているんです。
そんなリカ活界に昨年彗星のごとく?現れたのが「現実を生きるリカちゃん」(以下「現リカちゃん」)。
そこには、冷蔵庫を足で閉めちゃうリカちゃん、雨が降るたびビニール傘がたまるリカちゃん、今向かってる.というLINEを家から送るリカちゃん……など、これまんま私だわ!と笑ってしまう日常あるあるなリカちゃんに共感の嵐で、現在YouTubeは45万人、インスタのフォロワーは80万人超(取材時)。
そんな現リカちゃんを作る管理人さんってどんな人? 興味津々で調査してきました!
自分みたいなリカちゃんにしよう
現リカちゃん以前からリカ活はしていたんですか?
「いえまったく。リカ活している人の写真をたまに見ていたぐらいです。でもコロナ禍で完全に在宅勤務になって、飲み会もなくなって時間ができたときに、そういえば私リカちゃん好きだったし、工作もわりと得意だし、やってみようかなって思ったんです。でもいわゆるおしゃれなやつは私には無理だってすぐに悟って(笑)。自分みたいなリカちゃんなら作れるし笑ってもらえるかも、と思って、まずはミニチュアのテーブルとソファを買って、床と壁を工作して1本目の動画を作ったんです。思い立ったらわりとすぐでした」
隣の席で配られてるおみやげのお菓子が気になりつつ、仕事してるふりをするリカちゃん。
ってことは動画も独学で?
「はい、パソコンも持ってなかったです。でもそれまでひたすら色んなタイプのYouTubeを見てた側だったので、見よう見まねでなんとか」
人気YouTuberのお約束、ルームツアーに朝夜のルーティン動画。しかしそこは現リカちゃん、予想の斜め上をいく共感ポイントが満載!
周囲の反応は?
「家族にも友人にも言ってませんでした。今もごくわずかな人しか知りませんが、当時はリカちゃんやリカ活が好きってことが少し恥ずかしかったんです。だから周りの人に見てもらいたいという気持ちではなかったんですけど、でもどこかで“刺さる人に刺されー!”とは思ってました。しばらくは再生回数も10数回とかだったんですが、ある日突然ツイッター経由で話題になって1晩で5万人ぐらい登録者が増えて、なんじゃこりゃーと。コメントのひとつひとつは嬉しいんですけど、数字的なことは今もよくわかってないです」
一度はいた靴を脱ぐのが面倒臭くて這いつくばって忘れ物を取りに行くリカちゃん。
誰もがわかるわかる!と膝を打つ日常あるあるネタが、たくさんの人の共感を得ている現リカちゃんですが、同時に視聴者やフォロワーに人気なのが、イマドキなリカちゃんのファッションと、チラっと映り込むだけなのにリアルすぎる日用品、そして部屋の散らかり具合。1本の動画を公開するまでにアイデア、コンテ、小道具の調達や製作、撮影、編集とものすごい手間がかかってそうですが大変では?
細かな日用品までリアル過ぎる現リカちゃんの部屋。YouTubeのサブアカウント「現実を生きる管理室」ではこのお部屋ができるまでの製作の裏側、“丁寧に汚されていく”過程も紹介されています。
「どの工程も全部楽しいんです。強いて言えば小道具を作るのが手間も時間もかかるんですけど、動画では一瞬しか映らなかったり、別になくても成立するものでも、思いついたらついつい作っちゃうんです。誰かが気づいてくれるかなーって」
チラッと映り込むだけの小道具もよーく見るとパロディや小ネタが満載。「意外とそこに時間かけてます」
私にはここがある 新しい居場所ができた
活動を始める前と今で、何かご自身は変わりましたか?
「自分の好きなことって何なんだろうってずっと考えていたんです。普段の仕事も、これ向いてないなぁって思いながらぼんやり生活していて。でも現リカちゃんをやり始めて、家と会社の2拠点だったのが、心のよりどころというか、もうひとつ居場所ができた気がして。例えば仕事で理不尽なことがあっても、私にはここがあるもんって楽に気持ちを切り替えられるようになったり。夜中にゲーム実況とかを聴きながら無心でチマチマと作ってる時間って純粋にこんなに楽しいんだなぁって。それを誰かに認めてもらえて。自分を投影したズボラでトホホな姿でもリカちゃんはやっぱりかわいい。ってことは私の生活だってそんなに悪くないじゃん?って。自己肯定感みたいなもの?ですかね。見てる人に元気出るって言われるのは予想外でしたが、見てくれる人も肯定できるような動画を、これからもマイペースで作れたらいいなと思ってます」
「表情はひとつなので雰囲気が出るように何百枚と撮ってます」。正面を向くと実は少し左向きなリカちゃん。髪ボサでもかわいい…。
YouTube『現実を生きるリカちゃんねる』管理人さん
普段は会社員として働きながら、リカちゃんに自分を投影して活動中。SNSで話題を集め、一躍人気のコンテンツに。Instargam:@licca_real
調査報告
夢中になれるもの、心のよりどころや居場所を見つけたことで、普段の生活がちょっと楽になったというお話にグッと来てしまいました。好きなこと=偏愛を見つけたら日常に小さな革命が起きる、まさにそれがこの「偏愛レボリューション」の由来です。どんな趣味や楽しみにも言えますね。
偏愛調査員
オモムロニ。
雑貨コーディネーター。ユニークでグッドデザインな日用品や手みやげのセレクトが得意。偏愛ジャンルは、プロ野球、ハロプロ、猫。著書に『DAILYGIFTBOOK気持ちが伝わる贈りものアイデア』(文藝春秋)がある。Instagram:@omomuroni
連載
偏愛レボリューション
偏愛は毎日をちょっと楽しくする小さな“革命”! どんなにマニアックだとか、ファン歴なんて関係ないのです。いつの間にか夢中に……あぁ、“好き”があるってしあわせ。そんな偏愛ビトをレポートします。
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※『現実を生きるリカちゃん』のアカウントで使用されている人形は、独自に改造されたものであり、タカラトミーの販売するリカちゃんとは状態や仕様が異なります。
※『現実を生きるリカちゃん』はタカラトミーではなく個人の方が運営するアカウントです。
※掲載内容は発行時点の情報です。
[LaLa Begin2022年 2-3月号の記事を再構成]インタビュー・文/オモムロニ