【SEIKO連載/It's AUTOMATIC! 第3回】本格時計たちとの末永いお付き合い
本格時計たちとの末永いお付き合い
本格時計・入門編
今回は、機械式時計のトリセツをざっくばらんにトーク。愛でる感覚はハムスターと同じ!?繊細なあの小動物にたとえれば、大切な相棒と長く付き合うためのお作法が丸わかりです!
メンバー紹介
ルキア企画担当
武内真央さん
5スポーツ企画担当 内浦美緒さん
ララビギン編集部員 ヤザキ
デジタル時代のあるある。磁気にご用心!
ヤザキ 連載担当としてずっと考えていたんですが、やっぱり機械式時計って小動物っぽいですよね。
内浦 感覚としては、昔飼おうとしていたハムスターに近いかも。「あの子にしないことは時計にもしない」のが基本ですね。
武内 まさに、その通り。私もハムスターを飼っていたからわかります。
ヤザキ 私もです! まさか全員ハムスター好きとは(笑)。
内浦 そんな愛すべき精密機械の天敵が磁気です。実は身近なスマホやパソコンに近づけるだけで、中の部品が磁石になってしまう「磁化」という現象が起きてしまいます。
武内 繊細な部品が強い磁石に驚いて目を回すようなもの。そうなると「精度」が落ちて遅れたり、止まってしまうことも。
内浦 一発アウトもあれば、日々の蓄積で弱ったり。お客様相談室への問い合わせでも多いご相談ごとです。
武内 お客様相談室で、適切なご案内を致しますので、ご安心を。今はいたるところに磁石が潜む、時計にとってはちょっぴり気遣いが必要な時代。でも、電化製品からたった5〜10㎝離すだけで、守ることができますよ。
ヤザキ デジタル時代だからこそ、愛の距離感として覚えておきたいですね。

まるで小動物⁉衝撃にも注意して
ヤザキ 腕時計は、実は衝撃にも注意したほうがいいとか?
内浦 強い遠心力がかかると、繊細な部品たちがダメージを受ける原因になっちゃいます。
武内 バッティングセンターやゴルフは避けたいところ。
内浦 机からの落下にも要注意。衝撃によっては軸が折れることもあり、治療費もかさみます。
武内 ただ、ケガをしても、修理技能士が修理すれば動き出してくれるのがよさでもあります。
ヤザキ 回し車に励むハムスターのようにチクタクがんばる子、大切に守ってあげたいですね。

曜日変更、汚れ……意外な盲点
武内 触れてはいけない魔の時間帯というのもあります。日付窓がある子は、夜9時から深夜4時頃までは、カレンダーを翌日に切り替える準備の真っ最中。
内浦 その間、うっかり日付を変えると中の「カレンダーディスク」を傷めてしまい、止まってしまうこともあります。おやすみ時間を邪魔しないことも優しさですね。
ヤザキ 見守るのが愛ですね。
武内 時計全般ではありますが、汗やハンドクリーム、日焼け止めなどが隙間に溜まると、金属を傷める原因に。一日の終わりに今日もお疲れさまと、柔らかな布でやさしく拭いてあげましょう。

「ひと手間」で長く付き合おう
内浦 あとは、ごはんをあげるように、毎日定時に「ぜんまい」を巻くと、動きが安定しますよ。
武内 手巻つき時計が止まっていたら、りゅうずを20回ほど巻けば動き出します。時刻を合わせてりゅうずを押し込むのも忘れずに。手洗い時などの浸水を防げます。
内浦 人間ドックにあたる「オーバーホール」も定期的に。革靴のように早めのケアをすることで、長くお付き合いいただけますよ。
武内 困ったら購入店やお客様相談室、東京・丸の内のカスタマーサービスへお問い合わせを!
ヤザキ お医者さんがいる安心感もハムスターと一緒ですね!

SKX SRRA005
セイコー 5スポーツの時計らしくスポーティーな表情ながら、径28mmと小ぶりで女性も普段使いしやすい。メタルブレス中央は、キラッとする鏡面仕上げで気分が上がる。自動巻(手巻つき)。SSケース。4万2900円
用語解説
【 磁化 】
タブレット端末、ワイヤレスイヤホン、バッグの開口部しかり、磁石でカチッと止まるものに近づけると、時計の部品が磁石化すること。不調の原因になる。磁石からは5㎝以上離すことを習慣づけて。
【 精度 】
時計の健康状態のこと。100以上の部品が詰まった機械式時計は、生きもののように繊細。暑さ寒さに敏感で、不調が全体に響くことも。でもその個性を知り優しく接すれば、元気に長生きする。
【 オーバーホール 】
メーカーなどに頼んで時計を分解掃除してもらう有料の健康診断。油を差し、汗や汚れによるサビを除くことで、将来的な修理代を抑えながら長く愛用できる。2〜3年に一度は行いたい大切なメンテ。
【 カレンダーディスク 】
日付窓のある時計に内蔵された、日付入りの円盤状の部品のこと。夜9時から深夜4時頃までは翌日に切り替える準備中なので、カレンダー合わせは避けて。無理に変えると部品を傷めることも。
【 ぜんまい 】
時計の動力源であるリボン状のバネのこと。りゅうずを回すとこのぜんまいが巻き上がり、パワーを蓄積。これがほどける力で針が動く。毎日同じ時間に巻いてあげると、時計の機嫌が安定する。
写真/伏見早織 文/間中美希子