偏愛レボリューション
五十嵐祐輔さんが夢中になる【ネコード】って? 愛好き必見のレコードコレクションを拝見♪
[LaLa Begin2022年 8-9月号の記事を再構成]
偏愛レボリューション~Vol.14「ネコード」五十嵐祐輔さん
猫とレコード=「ネコード」愛猫家う世界をご存知ですか。古今東西、ジャンル問わず、実はジャケットに猫の写真やイラストを使ったレコード盤が数限りなくあるのだとか。掘れば掘るほど出てくる猫ジャケの多さと名盤に当たる確率の高さに、コレクターもいたり、コーナーを設けてる中古レコード屋さんがあったりするほど。
今回はそんなネコードの魅力を、カマクラ張子の作家でありミュージシャンとしても活動している五十嵐祐輔さんに教えていただきました。
ネコードコレクションを拝見すべくご自宅に伺うと、2匹のかわいい猫ちゃんがお出迎え。
あまりのかわいさに取材を忘れそうになりつつ、案内していただいたリビングへ。そこには天井まで続く壁一面に猫・猫・猫!のネコード棚(下写真)。
季節や気分によって前面に並べるものを替えているというネコード棚。なにげなく飾っているのに統一感あってオシャレ!
か、かわいいー! スタッフ一同高ぶる気持ちを抑え、取材はスタートしたのでした。
中古レコード屋で野良猫を探す
圧巻のネコード棚ですね。現在は何枚ぐらい所有されているんですか?
「200枚ぐらいでしょうか。もともとレコード自体は沢山持ってたんですけど、猫ジャケを集めた本(下写真)なんかで見ていて、へぇ〜こういう世界があるんだとぼんやり知っていた程度でした」
古今東西、色々なネコードが紹介されているムック本・『猫ジャケ』(レコード・コレクターズ増刊)シリーズ。残念ながら第一弾は入手困難!
「それが、ご縁あって我が家に2匹の猫が来たのが2015年頃。猫を飼い始めると急に世の中の猫グッズが気になり始めるんですよね。そんな時期にレコード屋さんで猫ジャケを見つけて、試しに1枚買って部屋に飾ってみたら、あ、なんかかわいいぞって。意識して集めるようになったのはその頃からです」
表情豊かな猫は顔アップのジャケも多数。「雰囲気と音楽がリンクしてたりしてなかったり、裏切られるのもまた楽しいですね」
なるほど、きっかけは愛猫ちゃんだったんですね。でも猫を飼い始めると目が肥えて、猫モノなら何でも良いわけじゃなくなりませんか?
「そうなんです、だから猫の表情とか全体のデザインがグッときたものを買うようにしてます」
すべての作品が「猫と楽器」で統一されているシリーズ。フォントも含めたデザインも秀逸。
そういったネコードはどこで探してますか?
「欲しいものはネットやオークションで探してます。あの猫ジャケ本にも載ってないものを見つけたりすると、おお!ってテンション上がりますね。レコード屋さんがSNSになにげなくアップした店内写真の中に気になるジャケを見つけて、写真を拡大したらやっぱり猫だ、って。それでお店に問い合わせて、壁に写ってるあの猫のやつくださいって買ったこともあります」
「クリスマスとか時期に合わせて飾って雰囲気出したりします。子どもと猫のジャケも多いですね」
「あとはもちろん実際のお店でも探します。猫ジャケってありとあらゆる音楽ジャンルにまたがってるんです。イージーリスニングとかジャンル分けもされてないような『その他』コーナーに潜んでたりします。それこそ野良猫探すみたいな感じで、あのシルエットを見つけると、おお、いたいた!って(笑)。そういう偶然がまた面白いんです」
ものづくりのインスピレーション源に
猫モノだったら何でも良いわけじゃ、という話が出ましたが、五十嵐さんがグッとくるものの共通点ってあったりしますか?
「100%ジャケ買いなんで、レア度とか音楽ジャンルは気にしません。猫がなんとも言えない表情をしてたり。インパクトのある顔のアップだったり、どんな音だろうとワクワクします。あとは、自分も猫をモチーフにものづくりをしてるので、猫の表情とか色使いや余白のバランス、ジャケット全体のデザインは気になりますね。猫を素材にしてどう捉えて表現するか、ディテールにこだわったり、デフォルメの仕方やユルさの具合。我が家の2匹はもちろんですが、ネコードからも自然とインスピレーションをもらってる気がします」
美しいとかわいいの共演は無敵! 美女と猫の組み合わせは新旧洋邦問わず、相当な数あるのだそう。そして意外や意外、五木ひろしのシングルにも猫が!
五十嵐さんご自身も音楽活動をされていますが……ってことはやはりいずれはご自分も猫ジャケ作品を?
「実は、もう作っちゃったんです。久々の新譜だったので絶対に猫ジャケにしようと」
五十嵐さんのソロユニット〈fishing with john〉のアルバム『14.8℃カマクラ』バッチリカメラ目線の愛猫ココア。
なんと!これはまさにジャケ買いしたくなるかわいさです。
「ありがとうございます、ちゅ〜るで必死に誘惑して、奇跡の1枚を撮ってもらいました」
確かに今回たくさんの猫ジャケ=ネコードを見せていただいて、この瞬間をよく捉えたなっていう表情や、どういう経緯でこのジャケになったんだろう、って気になる写真も沢山ありました。いずれにしても簡単にイイ表情は撮れないでしょうから、それぞれのアーティストにとっても特別な1枚だったんだなって想像すると、“猫ジャケに名盤多し”と言われるのも納得です。
五十嵐祐輔さん
「カマクラ張子」の
職人として招き猫等の張子製作を行う他、音楽ユニット「fishingwith john」を主宰。保護猫を家に迎えてからネコードの魅力に開眼。Instagram:@yusukeigarashi
五十嵐さんの作るカマクラ張子の招き猫はオーダーも可能。作品はインスタグラムのほか、鎌倉の雑貨店〈moln〉で見ることができます。
調査報告
「猫ジャケ」のおかげで、今まで知らなかった音楽やアーティストに出会えるのが楽しいという話が印象的でした。これぞジャケ買いの醍醐味。サブスク配信で出会う音楽もいいけれど、最近そういう、音楽の聴き方をしてなかったなぁ。久々に中古レコード屋さん行ってみようかな。
偏愛調査員
オモムロニ。
雑貨コーディネーター。ユニークでグッドデザインな日用品や手みやげのセレクトが得意。偏愛ジャンルは、プロ野球、ハロプロ、猫。著書に『DAILYGIFTBOOK気持ちが伝わる贈りものアイデア』(文藝春秋)がある。Instagram:@omomuroni
連載
偏愛レボリューション
偏愛は毎日をちょっと楽しくする小さな“革命”! どんなにマニアックだとか、ファン歴なんて関係ないのです。いつの間にか夢中に……あぁ、“好き”があるってしあわせ。そんな偏愛ビトをレポートします。
連載目次はこちら
※掲載のアイテムはすべて私物であり、現在の流通を保証するものではありません。
※掲載内容は発行時点の情報です。
[LaLa Begin2022年 8-9月号の記事を再構成]写真/押尾健太郎 インタビュー・文/オモムロニ