趣味活ノススメ
多趣味で知られるモデル・市川紗椰さんに聞いた【趣味活】の楽しみ方とは?
市川紗椰さんに聞くマニアな趣味活「道」
鉄道好きは言わずもがな。“この道のプロ!”と呼びたくなる経歴の市川紗椰さん。ちょっぴりオタクでインテリジェンスに富んだ視点から、趣味活の魅力を語ってくれました。
マックレガーのドリズラーレザージャケット11万円、同スカート3万6300円(以上双日インフィニティ) ハーレー オブ スコットランドのニット2万2000円(エリオポール代官山) イリスフォーセブンのカチューシャ8250円(フーブス) ジュガードフォーティーンのメガネ9900円(ティータイム) ビームスボーイの靴下1210円(ビームス ボーイ 原宿) ブルックス ブラザーズ×パラブーツのレースアップシューズ9万7900円(ブルックス ブラザーズ ジャパン)
趣味を深めれば人との話題に困らない
とあるWEBメディアでみかけた市川紗椰さんのコラム。推し活についての考察が面白く、ぜひ趣味活についてもご教授願いたい!と思った次第。さっそく趣味のたしなみ方を聞いてみると、考察に情報収集というマニアックな回答が。
「最初に『私はこれが好きなんだ』と自覚したのは音楽です。4歳からヴァイオリンをはじめたのがきっかけで、クラシックやロックにハマりました。その中で気づいたのが、好きを深めるのって面白いなということ。人とたくさん話すのはあまり得意ではなかったのですが、音楽の話だったらいくらでもできる。知っていれば知っているほど話題に困らないんです。趣味を深めることによって、人とつながる楽しさを知りました」
共通の話題があれば盛り上がるという、初対面でも会話がつづくコツですね。ぜひ、深掘りの仕方を知りたいです!
ルーツを知って網羅するそれが私の美学です(笑)
「当時は雑誌で見たり、ラジオで聞いて気になったアーティストや曲をメモってCD屋さんへ買いに行ったり。あとは、好きなバンドメンバーのインタビューを調べると、その人たちが影響を受けたアーティストについて話していることも。彼らが聞いていた曲は何なのか、芋づる式にさかのぼることで掘り下げる。私は何でもルーツを知りたくなるタイプなんです」
なるほど。興味のある対象を横に広げるか、縦に広げるか。
「例えばアニメでも、同じジャンルの作品にハマって横に広げる人もいれば、私のように同じ監督や制作会社の作品をさかのぼって楽しむタイプもいる。人それぞれ好みというか、美学というか(笑)。私はルーツを知って網羅します」
文化人類学的な研究をしている気分に
過去にさかのぼって掘り下げるタイプも、同時代のものを横に広げるタイプも、どちらも同じくらいマニアックに感じます。
「さかのぼるタイプのメリットは、いろんな世代の人と会話が楽しめること。過去の作品にも詳しくなるので、話が合うんです。それに少しだけ、文化人類学的なことをしているフリができます(笑)。ひとつのカルチャーとして掘り下げていくと、歴史やその時代の世相、景気はどうだったのか、どんなものが流行っていたのかなども関係してくる。社会学的な側面もあるかもしれません。自然と視野が広くなって、対象への愛が深まります」
“推し活”という言葉は優劣をつけているようで…
今回の企画、編集部の中で、推し活ではなく趣味活にしたいという意図があったのですが、そのあたりのご意見は?
「“推し活”って言葉にもやもやしていて…。もとは“推しメン”から来ている言葉ですよね。つまり『このグループの中でこの人が一番好き』ということ。必然的に優劣をつけている気がして、しっくりこないのかもしれません。今やそこら中で使われていますが、たまに混乱してしまうこともあります。私の場合、“鉄道推し”と言われますが、それって何に対しての“鉄道推し”なんだろうと考えてしまって。例えば、鉄道会社の中で西武鉄道が好きだから“西武鉄道推し”ならわかるんです。ただの“鉄道推し”だと、交通手段の中での“鉄道推し”なのか。でも、車も好きだし地下鉄にも乗るし…。皆さん、深い意味はなく使っていると思うんですが、私はめんどくさい人間なので、そこに引っかかってしまう」
なるほど! “推し活”について、すごくクリアになりました。市川紗椰さんらしい知的な考察ですね。新書で読みたいくらいです(笑)。
私の「面白い!」と思うハードルは低いんです
幅広い趣味をお持ちなことでも有名ですが、普段どのように趣味活を楽しんでいるのか興味津々です。
「趣味とまではいかないんですが、日常の中で追っているテーマがいくつかあって。例えば、コロッケ。コロッケって、あちこちにありますよね。街のお肉屋さんとか、最近ではご当地モノも有名です。広島のシラスコロッケや仙台のずんだコロッケなど、こんなのもあるんだ!という驚きがある。それに出会って、買って食べるだけで楽しい。私は面白い!と思うハードルが激的に低いんです。街なかの看板とか、ガードレールを見るだけでも興奮しちゃう(笑)」
好きなものが街中に転がっているなんて、日常生活がめちゃくちゃ楽しくなりそうですね。
趣味活Photo Collection
公式によると、趣味は音楽、読書、アニメ鑑賞、鉄道、相撲、食べ歩きとある。右上から時計まわりに/国技館で相撲観戦。千葉県のローカル線・小湊鐵道で。犬は断然、シーズー派。ペンと手書き好きが相まって、SFファンタジー調の地図イラストを書くのも趣味。他に巨木、ハンバーグやミートソースなどの挽き肉料理好きというタレコミもあり!
「好き」が多いと毎日がちょっと楽しくなる
「皆さんも自覚していないだけで、じつは好きなものってたくさんあると思うんです。自分は何が好きなのか意識するだけで楽しみが増える。日常の“推しメン”を見つけるのもおすすめです。コンビニの店員さんや最寄り駅の駅員さんに、ちょっと注目してみるとか。推しに会えると嬉しいですよね(笑)」
幸せというには大きすぎるけれど、好きが多いと手軽に楽しくなれるのは事実。まずは自分の“好き”を自覚することからはじめよう!
イチカワ的趣味活コンプラ3か条
①趣味の度合い、好き歴でマウント取り合うのはやめましょう
にわか批判に古参マウント。その言葉がコンテンツを閉鎖的にしてしまう。好きな者同士、おおらかな気持ちで楽しんで。
②自分が好きなものを上げるために他を下げるのはナンセンス
他を貶める必要があるのだとしたら、それは対象のいいことを言えていないだけ。本当に好きならゼロから言えるはず。
③対象物を追うことに疲れたら1回離れていい
追うのに追われていると気付いたときは、1回離れていい。楽しくなくなってしまったら、その対象に申し訳ないから。
連載
“好き♡”から始まる学びの時間
趣味活ノススメ
忙しい毎日の中でも、心がときめく“趣味”の時間。それはまさに、学びを深め、生活に彩りを与える大切なひとときです。今回は、新たな〝好き〟を見つけるヒントや、それを深めるためのアイデアやマインドを、趣味活の達人たちに聞きました。
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※掲載内容は発行時点の情報です。
[LaLa Begin 2024年 AUTUMN号の記事を再構成]photo:Keiichi Suto styling:Makoto Fukuda hair & make-up:Miyuki Nakamura text:Rie Murata