偏愛レボリューション
アメリカ製から北海道の熊まで⁉ マグネットコレクター・magsterさんのコレクションずらり!
[LaLa Begin2020-2021年 12-1月号の記事を再構成]
偏愛レボリューション~Vol.4「マグネット」magsterさん
何はともあれ、まずはこのヴィンテージマグネットたちのかわいさよ!
いきなり鼻息荒めですが、これらは主に90年代にアメリカで作られた、アージョン社のコレクターシリーズ。旅先で買ったご当地モノとか、おまけやノベルティ、ガチャガチャなど、じつはマグネット好きな人、多いのでは。
今回の偏愛ビトは、そんなマグネットのコレクターとして活動するmagsterさん。ご自身のサイトやSNSにアップされているコレクションを見て、単にたくさん所有しているマニアではなく、何かこだわりを持って集めている方だなと。何かを集める時のヒントになるかも?と、マグネットに魅了されたきっかけから伺いました。
ハワイに行っても海よりマグネット
「出合いは幼少期、祖母の家の冷蔵庫にあった野菜のマグネットです」
マグネットを集めるきっかけとなった思い出の品。お祖母さまの家には他にも「ギガチュア」と呼ばれる、実物より大きな受話器のおもちゃなどもあったのだそう。
「その時は貰えなかったんですけど、元々シールとか切手とか日本酒の酒蓋みたいな小さなものを集める癖があって、少しずつ探しはじめて。まだネットの情報もない頃だったので、地道にキッチン用品店とかを回っていました。ハワイに行っても海はほどほどに、ひたすらスーパーやおみやげ屋さんでマグネット探し。コレクターとして活動しはじめたのは、98年頃」
「精巧な日本製のとはまた違う、大らかで独特の味があるんです」
ってことは20年以上? 恐れ入りました。ちなみに今どのくらいの数のマグネットお持ちなんですか?
「よく聞かれるんですけど、ある時期からもう数えてないです。むしろ改めて数えるのがちょっとこわい(笑)」
こんな風に保管はざっくりと。「でも頭の中では把握してます」
20年以上ともなると、その間にネットも普及して情報収集しやすくなった一方で、他のコレクターと比べたりして落ち込んだり、愛が冷めた時期はなかったですか?
「たしかに見つけたら義務感で何でもすべて買ってた時代もありました。さすがに買い過ぎだなって一時的に我慢したりするんですけど、後から結局ほしくなったり、新たな掘り出し物にも出合ってしまったり、結局ずっと飽きていないですね。海外の古い映画を観てても、ついついキッチンや冷蔵庫に注目しちゃうし、昔も今も、定期的に“マグネットの夢”を見るんです。ハワイで路面電車の向こうに実物大の食べものマグネットがあって、手が届きそうなのに届かない!っていう夢」
アレとアレを組み合わせてドラマが生まれる
雑貨やおみやげ品、ノベルティや海外モノ。限りなくあるマグネットから、自分のコレクションにしたいと思う基準や集め方のこだわりをたずねると
「ここ数年は組み合わせが楽しくて」
と言いながら、面白いものを見せてくれました。
別々に買ったはずなのに、組み合わせてみたら思わぬストーリーや空間が生まれる。「違った味わいになって、より愛着がわきますね。自分なりの収集基準ができてきました」
「すでに自分が持ってるアレと組み合わせたらちょっとドラマが生まれるかも、と想像を掻き立ててくれるものを買ってます。あとはやっぱり無条件に心躍るもの。北海道の熊はよく見かけるので好奇心で集めはじめたら、数年のあいだに予想外に進化してて。この先どうなる?ってワクワクしながら集めてます」
「これはほんの一部で……」と言いながら出るわ出るわ、北海道のおみやげ熊マグネット。特産品とのコラボに始まり、同化、そしてもはや原型を留めない姿に。この先の進化が気になる!
「見えますかね? 2つの違い」細かすぎて伝わらない熊マグネット!
長く集め続けてると見えてくるものもありますね。
「そうなんです。2000年頃に小さく強力な磁石が登場してミニチュアが急増したり、ある時期ドリンクのおまけとしてマグネット異常に流行ったり」
たしかにル・クルーゼのお鍋マグネット、みんな集めてましたね。最後に、今後の楽しみを尋ねると
「数えるのはこわいんですけど、整理して何か本などにまとめられたら。長い期間集めているからこそ感じた流行の変遷とか、時代やお国柄とか。あとは……気軽に旅行に行けるようになったら、真っ先にハワイに行きたいです!」
magsterさん
マグネットコレクター。メモが隠れてしまうほどの大きなマグネットが好き。コレクションサイト http://magster.net Instagram:@magster, Twitter:@magsterにて、情報発信してます。
調査報告
「今まで一番高価だったものは?」なんていうミーハーな質問もしたのですが、そこはあまり気に留めていないのが印象的でした。レアものだからとか、一般的に人気があるかどうかは関係なく、純粋に自分がワクワクするかを基準に収集しているからこそ、20年以上も情熱が続いてるのだなぁ。
偏愛調査員
オモムロニ。
雑貨コーディネーター。。ユニークでグッドデザインな日用品や手みやげのセレクトが得意。偏愛ジャンルは、プロ野球、ハロプロ、猫。著書に『DAILYGIFTBOOK気持ちが伝わる贈りものアイデア』(文藝春秋)がある。Instagram:@omomuroni
連載
偏愛レボリューション
偏愛は毎日をちょっと楽しくする小さな“革命”! どんなにマニアックだとか、ファン歴なんて関係ないのです。いつの間にか夢中に……あぁ、“好き”があるってしあわせ。そんな偏愛ビトをレポートします。
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※掲載内容は発行時点の情報です。
[LaLa Begin2020-2021年 12-1月号の記事を再構成]写真/武蔵俊介 インタビュー・文/オモムロニ。