Begin Market(ビギンマーケット) COLUMN ARTICLES ソバージュにピンクのルージュ。「80'sアイドル」を愛するマリーさんを調査!

2024.07.30

偏愛レボリューション

ソバージュにピンクのルージュ。「80'sアイドル」を愛するマリーさんを調査!

[LaLa Begin2020年 10-11月号の記事を再構成]

偏愛レボリューション~Vol.3「80’sアイドル」マリーさん

ふんわりソバージュに青みピンクのルージュ。ここ数年、バブリーダンスが話題になったり、トレンドの太眉や『東京ラブストーリー』のリバイバルなど、80〜90年代の文化がにわかに注目されてますが、ただいま令和2年、あのスタイルを地でいく女性が、今回の偏愛ビト、マリーさんです。

彼女を知ったのはとある深夜番組(アポなしで家について行っちゃうやつ)。街で声をかけられたときの服装(肩パット入りのスーツ)も、訪ねたお部屋の中も30年ぐらいタイムスリップしたかのようで、どうやらこれは非日常のコスプレではなさそう。

95年生まれ。だけど、80年代が好き!

年齢のことをいうのはちょっと野暮ですが、マリーさんは95年生まれの現在25歳。昭和から平成へ変わるあのバブル時代にはもちろん生まれていません。なぜ80年代のアイドルに憧れるのか、現在に至るまでのこと、周囲の反応、ファッションや髪型へのこだわり、あれこれ聞きたくて、彼女がお気に入りだという喫茶店で待ち合わせをしました。

\アイスのCM来ないかな〜(なんて)/

喫茶店でおしゃべり♡のおともはアイスクリーム!

喫茶店のピンク色の壁にぴったりな、ファンシーなカセットテープ柄のスカートで颯爽とあらわれたマリーさん。

キュッと細いウェストにばっちりキマったヘアはまさに80年代のアイドル雑誌から飛び出してきたみたいで、調査スタッフ一同「かわいいー♡」と声があがったほど。でもホントに普段からこういう格好なんですね。

ボリュームのある肩や襟の服にキュッとウエストをマークするのが定番。メンバーカラーがピンクという設定なので自然と多くなるかな

「はい、3年ぐらい前からは毎日このスタイルです。幼い頃は女の子らしい服とか着せてもらえなくて、ひそかに憧れてました。もともとモー娘。とかアイドルは好きだったんですけど、中学生の頃、レコード大賞みたいなTVの音楽特番で見た歴代アイドルの映像を見て、とくに80年代後半から90年頃のWinkとか南野陽子さんとかが着ている衣装や曲の良さに、これだ!って魅了されてしまって」

当時その魅力を共有できる友達はいたんですか?

「いえいえ、もちろん全然いませんでした。一緒にカラオケに行っても「古くさい」って笑われたり、洋服も「おばあちゃんみたい」っていじられたりしてました。でも別にそれでさびしいとか感じたことはなかったし、周りも興味がないながらも否定はされなかったんです」

それ、いい関係ですね。同じ趣味である必要はないけど、やってることや好きなことそれ自体を肯定してもらえるって、共有できる仲間がいるより大事かも。そんなマリーさんの80年代アイドルやファッション好きが加速したのは?

\アイドル写真っぽい?/

写真集に必ず1枚はこういうカットあるよね、なんて言いながら。

「服飾の専門学校に行ってたんですけど、トレンドを追うってことが必須で、向いてないなーと。その頃体調を崩したりもして、すごくネガティブになったんです。そんな時に救われたのが大好きなアイドルで、アイドルみたいに生きたい、そうだ私はアイドルなんだ、って思うことにしたんです。あらためて言葉にするとちょっと恥ずかしいんですけど(笑)。たとえば見た目とか傷つくことを言われても、人気の証拠だって思えたり、いつ写真週刊誌に撮られてもいいように、満員電車の中でも涼しい顔していようとか、信号待ちも気を抜かないようにとか、笑顔で親切でいようとか、いつも誰かに見られてるんだって意識して演じていたら、毎日が楽しくなってきたんです。それで普段から髪型や洋服やメイクを今みたいにして過ごしてたら、周りからもSNSでも評判が良くて。同志も増えて、去年ぐらいから人前で歌ったり、イベントに出たりしてアイドルっぽい活動をするようになったんです」

アイドル写真あるあるをつめこんだオリジナルのグッズも。「写真の雰囲気やフォントとか、作りの甘さもファンクラブ会報っぽく」

ソバージュはおじいちゃんの職人技で

ちなみに髪型や服はどうしてるんですか?

「服はもっぱら古着ですね。よく聞かれるこのソバージュは、普通の美容室じゃできる人もいないし、鳥の骨みたいな細いロットもないみたいで、おじいちゃんが一人で切り盛りしてる美容室に行ってます。超高速で巻いてくれるんです。トサカっていわれる前髪も実は色々と違いがあるんですよ。ちなみに今日の前髪のイメージは、全盛期ののりピー(酒井法子さん)です」

「いろんなアイドルが好きですが、一番の憧れは元おニャン子のゆうゆと酒井法子さん。当時の雑誌や写真集でポーズや服装やメイクを研究してます。男性なら光GENJIかな」

キラキラした瞳でマリーさんが語ってくれた80年代や当時のアイドルの魅力。それはいわゆる歴史年表で“バブル”と一括りにされる、ワンレンボディコンなあの時代のことではなく、好景気ゆえのもっとファンタジーが詰まった世界のことでした。

「当時の映画やドラマも、デフォルメされた夢みたいな世界。それが好きなんです。今はリアルじゃないとすぐツッコまれるけど、無茶なシチュエーションをみんなが楽しんでたんですよね。タイムスリップしてバブル時代に行きたいとは思わないんですけど、そういう大らかな時代がまた来たらいいなーって思いながら、憧れてます」

9/15生まれ乙女座。ライブ・イベント出演、ライターなどの活動を通して、再びバブルをと奮闘中。本人曰く永遠の17才。Instagram:@sugar.baby.marie Twitter:@sugarbabymarie

 

gion

フォトジェニックな店内が乙女心をくすぐる、阿佐ヶ谷の老舗喫茶。クリームソーダのほか、ナポリタンも名物!

住所:東京都杉並区阿佐谷北1-3-3
電話番号:03-3338-4381
営業時間:9:00~25:00(日曜のみ~23:00)
定休日:無休

調査報告

そうそう、バブル時代ってギラギラした印象ばかり残るけど、“ファジー”なんて流行語もあったように、白黒つけない曖昧な感じでもまぁいいじゃんっていう、大らかな時代でもあったなぁと、当時小学生だった私の記憶が色々とよみがえりました。最近は30年ぶりにWinkを聴いています!

※掲載内容は発行時点の情報です。

[LaLa Begin2020年 10-11月号の記事を再構成]写真/服部希代野 インタビュー・文/オモムロニ。

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