永く愛せる名品革図鑑
【土屋鞄製造所】使うほどに育つ“革いい”財布。エイジング初心者にもオススメ
[LaLa Begin 2021年 10-11月号の記事を再構成]
革財布
TSUCHIYA KABAN[土屋鞄製造所]
革財布のエイジングは初めて? ならば土屋鞄製造所のヌメ革財布をおすすめします。
素の表情をいかしたすっぴんのような革は、日光はおろか照明や水はね、手垢さえも跡がつくほど繊細なため、工房ではカーテンを閉め切り、手袋をして作る気の使いよう。その分、手に入れた瞬間から自分色に染まりはじめ、まさに十人十色の経年変化を見せてくれます。
コンテンポのニット4万6200円(ヤエカ ホーム ストア) ジョイスアディッドのパンツ2万7500円(グジャン) クラークス オリジナルズのデザートブーツ2万4200円(クラークスジャパン) その他スタイリスト私物
使ううちにカサカサしてきたらクリームを塗ったりと、愛情をかけるほどいいコに育つ。革財布を通して自分を知る、エイジングにはそんな楽しみがあるんです。
自分と対話ができる!?
何も施さない、真っさらな革が味わえるすっぴん財布
\プレーンヌメLファスナー/
“黄色に焼けていく”ことにこだわりベルギーのタンナーをセレクト
ツギハギなしの一枚革を贅沢に使用した、折り紙みたいな構造が楽しい手のひらサイズのミニ財布。ベルギーきってのタンナーでなめした最高級の牛革を厳選しているため、小麦色に品よくエイジングします。W11.5×H9×D1.7cm 1万6500円(土屋鞄製造所)
見えない部分にもいい革!
いい革を存分に味わってほしくて、内側のコイン室にまで外装と同じツルツルの銀面を採用。かなり贅沢な作り。
\DETAIL/
畳んだお札、コイン、カードがひとつに収まる3室構造。開けると中袋も自動的に開く作りは、まるでアコーディオンのよう。ワンアクションでスマートに出し入れできる。
革の内側部分を、強度を保ちながら薄くすることで、折り目がきれいにつくようにしている。
さらに折り目がしっかりつくように、革の表側部分にも“念引き”とよばれる、手間のかかる線が引かれている。これはデザインとしても見栄えがするディテール。
\開けるとこんなにふくらむ/
HOW TO CARE
①まずは獣毛ブラシかやわらかい布で表面や溝のホコリを払う。
コロニルのシュプリームクリームデラックス3080円(土屋鞄製造所) その他スタッフ私物
②革用の栄養クリームを塗って潤いを与え、余分な油分を拭き取って終了。ケアは月1回が目安。
笑い涙も味になる!?
こちらのヌメ革財布には、“シミや色づきなどもポジティブに楽しんでほしい”という思いを込めています。お煎餅を焼くように表裏返しながら経年変化をテストしたことも。完成までじつに2年を要しました。「笑い涙だってシミとなって、いい味・想い出になります」と舟山さん。
デザイナー
舟山真利子さん
16年前に初代デザイナーとして入社。土屋鞄製造所のルーツであるランドセルを大人向きにアレンジした、人気のレザーバックパック「大人ランドセル」もデザイン。
連載
永く愛せる名品革図鑑
革のアイテム、おひとつでもお持ちでしょうか? コーディネートに取り入れるだけで、装いをグッと上品にコクだししてくれる。そんな素敵な存在です。種類によっては、紅葉のように変色するものもあるし、そのままの表情を貫くものもある。革って、じつに奥が深い……。そして知れば知るほどおもしろい。革の名品を厳選した、【大人のための革図鑑】ができ上がりました。とくとご覧あれ。
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※掲載内容は発行時点の情報です。
[LaLa Begin 2021年 10-11月号の記事を再構成]写真/押尾健太郎 武蔵俊介
文/間中美希子 名知正登 桐田政隆 スタイリング/野崎未菜美 ヘアメイク/畑江千穂 モデル/高橋佳子 イラスト/ Mamedori