やっぱり青が好き
「青」なしにファッションは語れない⁉ その深~い歴史を教えてもらいました!
[LaLa Begin 2018年 8-9月号の記事を再構成]
その始まりは紀元前!
女と青は縁が深い?!
もしも、この世に青がなかったら、青いターバンの美人画も、マリリン・モンローの美尻も存在していなかったかも? 青い染料が生まれて5000 年超。これからも私たち女の青は永久に不滅です。
遺伝子レベルでみんな青に恋してる
「結婚にまつわる言葉にしてもサムシング・ブルーとマリッジ・ブルーがあるように、じつは青って二面性のある色。いい意味と悪い意味とがあるんです」とは色に詳しい新井美樹さん。「世界最古の青い染料、藍染めが身近だった反面、鉱石が作る青い顔料はその希少性から高貴で神聖な色とされ、悪魔を払い、死を招く色としても恐れられていました」
手が届くような届かないような、でも触れたらヤケドするような捉えどころのなさって、魅力的な女性にも当てはまると思いませんか? 人を惑わすファム・ファタールのような色だからこそ、女性は青をまといたがり、男性は女性を青で表現したがったのかも。「ただ、昔は好きな色という概念はなかったと思います。染料も顔料も貴重でしたし、服の色は身分によって決められていましたから。好きな青を存分に着られる今は、幸せな時代かもしれませんね」
話を聞いた人
新井美樹さん
──グラフィックデザイナー
書籍や雑誌などのグラフィックデザインを手掛けつつ趣味の水彩画に勤しむなかで、色の由来や成り立ちへの興味が高まり、2018年に「色の辞典」(雷鳥社刊)を上梓。国内外の世界中の367の色について解説している。
紀元前3000年頃
インダス文明遺跡から最古の藍染め発見。
\インド/
「藍は人類最古の染料。紀元前3000年頃にインド周辺で栄えたインダス文明の遺跡からも見つかっています」。インド生まれの染料、インディゴで染めた布は丈夫で虫よけにもなる今でいうところの機能素材。とはいえ、まだごく一部の人が身に着ける色だった。
14~15世紀頃
青はマリアの衣限定?
\イタリア etc./
「やがて青い絵の具、顔料が生まれます。当時は鉱石のラピスラズリやアズライトから、青色を作っていたため希少で高価。宗教画にしてもマリア像の青い衣だけなど、使用は限定的でした」。つまり画家がここぞというときに使う勝負色だったというわけ。
17世紀頃
美少女を描くなら青が必須だった?!
\オランダ etc./
「画家が自由に絵を描ける時代になると、青色絵の具は高価で希少であるゆえに、“せっかくなら自分の色に”とフェルメールのように思い切って使いたがる画家も出てきました。「真珠の耳飾りの少女」はターバンが青いからこそ、名画として称されるのかも。
江戸時代
庶民の定番色になった?!
\日本/
ゼイタクを禁じる奢侈禁止令により、庶民の服は茶・鼠・藍色に限定。特に藍色は「染色業者である紺屋が発色を競い合い、藍四十八色とよばれる多彩な青が生まれました」。次に着物作るならどんな青? なんて、ガールズトークで盛り上がったこともあったはず。
19世紀後半
合成インディゴの発明でデニムが生まれた。
\アメリカ/
この頃ドイツで合成インディゴが発明され安定した青色が作れるように」。汚れが目立たない青は作業服だったデニムにも採用され、やがてファッションとして大人気に。もしも青がなかったら、デニムを穿いたマリリン・モンローの素敵なお尻も拝めなかったかも。
現代
ブレザーはもともと赤かった⁉
\英国/
時は流れて現代。青はボーイな女の定番服、ブレザーの色としてもすっかりおなじみに。しかしこのブレザーの語源ってじつは赤。英国ケンブリッジ大のボート部員の制服が、炎(ブレイズ)みたいに真っ赤だったからだとか。これはアンビリーバ・・・ブルー!
連載
やっぱり青が好き
色に溢れ、どんな色だって好きに選べる時代ですが、青ってじつは、私たちの最も身近にある色かも? デニムやシャツの定番色だし、ジャパン・ブルーって言われるくらい日本人とは縁が深い。ここらで一度、青を見つめ直し、好きな理由を掘ってみよう。
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※掲載内容は発行時点の情報です。
[LaLa Begin 2018年 8-9月号の記事を再構成]写真 池本史彦 PYRTE FILMS / 竹内一将 STUH 文 間中美希子/ 灰岡美紗 スタイリング 長坂磨莉 イラスト 川合翔子