Begin Market(ビギンマーケット) COLUMN ARTICLES 【バイイングレポート】「MUNEKAWA」の人気のお財布、別注クラムの生産現場に突入!

2023.11.08

【バイイングレポート】「MUNEKAWA」の人気のお財布、別注クラムの生産現場に突入!

BOYNAのお店にはたくさんのモノが並びますが、そのセレクトにはエディターのこだわりが満載。実際にモノづくりの裏側を取材しながら、マッチするアイテムを厳選しています。 この連載ではその“裏側”を一部大公開。アイテムができあがるまでに込められた思いや、こだわりのポイントを交えてご紹介します。


毎日の生活を共にするお財布、皆さんどうやって選んでますか? ブランドも大事だけれど、使い勝手のよさや、長く愛せるかどうかってとても重要。さらに言うなら、手持ちの鞄や装いにもマッチするルックスも捨てがたい。そんなワガママな我々に、まさにピッタリの一品だと自負しているのが「MUNEKAWA」のL字ZIPのお財布、クラムです。

外見はシンプルですが、開くとその画期的な構造にご注目。中央が小銭入れになっており、その両サイドにカードフォルダとスリーブが。お札は小銭入れの下にくぐらせて、Uの字で収納でき折り目もつきません。中身が一目瞭然で、出し入れもしやすい唯一無二の機構です。しかもサイズはW10×H9.5cm10cm四方に収まり、女性が片手でも余裕で持てる小ぶりなサイズ感。レザーにこだわりながらもブランドロゴは主張せず、そのストイックなつくりが粋ってもの。じつは本誌のお財布の特集のときに出会い、編集部一同感動! すぐさまECのオファーをしたという経緯があります。

そんなムネカワのお財布が生まれる現場は大阪市。革の卸問屋さんも多いという大国町駅が最寄りです。

今回はエディター兼バイヤー、ナカムラが訪ねました!

ネイビーに塗られた壁面に、白い軒先が映えるこちらがショップ兼アトリエ。到着早々目に飛び込んできたのは、職人さん達が作業に没頭する姿。

製作途中のレザーアイテムを手に、アトリエコートやエプロンを身につけた職人さん達。美しく整頓された作業場も相まって、なんだかとても絵になる光景……! 声をかけるのを少しためらうぐらいに、じっと見学したくなるような佇まいです。

この1階の作業場ですべての製品は生まれるそう。多くのレザーや糸、ミシン台に工具などが並んでいます。

案内してくれた代表取締役社長の宗川佳弘さん。ブランドを立ち上げて以来、丁寧につくること、改良をしていくことを念頭にお店とアトリエを運営されているそう。

早速お尋ねしたことは、クラムをつくるとき、ひいては革小物全般において最も大事なことは何か、ということ。「一番最初の工程である、裁断の革の取り方、見極めです」と宗川さん。

広げて見せてくれたのは大きな一枚のレザーでした。一頭の牛から成るからこそ、たとえばお腹の部分は強度が弱かったり、端の方は伸びやすかったりという特徴があります。

こういった部分の“見極め”こそが大事。強度の弱い部分が、製品にしたとき負荷の大きい場所にあたると、傷みやすく丈夫にはできません。弱い部分を除いたり、うまく革の取り方を調整することが重要かつ、腕の見せ所だといいます。恥ずかしい話、どれだけ無駄のないように(一枚の革から多くの製品を作れるよう)取るか、ということが大事なのだろう、と思っていた自分には衝撃でした。

お財布に使われるパーツは、写真のような“抜き型”と呼ばれるパーツで「粗抜き」したあと、細かい加工を施し、再度「本抜き」をします。その後、接合する部分を削り、接着。そして最後に縫製をかける、という手順なのだそう。

もちろん全ての工程は、職人さんの腕が光る手仕事。様々な道具を用いる、複雑で繊細な作業です。クラムは特にパーツが多いこともあり、作るのが大変なのだそう。オーダーする際に「多い数は受けられない」と仰っていたのも納得です!

ムネカワの現在の商品数は、だいたい30品番。商品を使ってもらった時に後悔させたくない、完成度の高いアイテムを作るというのがブランドのこだわりだといいます。限られた人数で丁寧に作るうえ、新作は必ず試作し、実際に使ったうえで修正をかけて改良し、完成に至ります。それだけ徹底しているからこそ、多くの品番は作れないと語る宗川さん。だからこそ定番アイテムへの思い入れもひとしおだとか。ストイックなモノづくりへの姿勢に、感服です。

実際にお話しを伺って実感したのが、ムネカワの品物がこだわり抜かれ、愛情を持って作られる品物であるということ。当たり前かもしれませんが、ムネカワで働かれている皆さんの人柄の優しさと、真摯な姿に心を打たれ、いっそう別注のクラムが愛おしく感じられたのでした……!

定番のクラムのカラー別注。ヌメのように美しく淡いピンク、コクのあるディープなパープル、鮮やかで華やかなオレンジの3色は、エディター一同で厳選したBOYNA限定カラー。鞄の中で迷子にならないカラーリングを選びました。

手間ひまのかかる植物タンニンなめしを施した、透明感あるブッテーロレザーが見どころ。高温・高圧プレス加工を施されており、独特のツヤと光沢感が持ち味のレザーです。


今回ご紹介した商品: 

MUNEKAWA/ムネカワ LaLa Begin別注 クラム2024
34,100円(税込)

▼SHOP DATA

 

〒556-0014 大阪府大阪市浪速区大国2-8-26
営業時間 11:00~18:30
定休日 火曜日・木曜日・金曜日
※年末年始・臨時休業は公式サイトをご覧ください
WEB https://www.munekawa.jp/
TEL/FAX 06-6632-5700
MAIL info@munekawa.jp
アクセス Osaka Metro「大国町」駅 徒歩6分/JR環状線「今宮」駅 徒歩6分 

▼editor’s memo

 

1Fが製作アトリエ、2Fがお店。店頭で聞くお客様の生の声から生まれる商品もあるのだそう。製作スタッフが常駐しているからこそ、修理やメンテナンスの相談も可能。心配りの詰まった、素敵なお店です。

※掲載内容は発行時点の情報です。

写真/迫田真実 文/中村美紀(LaLaBegin

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