なんでもない日のインテリア
インテリアスタイリスト・中野真季さんが迎えた【選りすぐりの1脚】とは?
インテリアスタイリスト・中野真季が、毎回ひとつずつ、使っているものやこれから使ってみたいものについてお話しします。
中野真季
インテリア会社勤務を経て、現在は暮らしにまつわるアイテムのスタイリストとして活躍。展示会場のスタイリング、インスタレーションを手掛けることも。
こんにちは。スタイリストの中野真季です。第2話ではチェアのお話をしたいと思います。
世の中にはとても素晴らしいチェアがたくさんありますね。デザイナーズもの、ヴィンテージもの、許すならばいくつも所有したいところですが、そうもいきませんので選りすぐりの1脚を見つけたいところです。
私が迎えたのはMoMAのパーマネントコレクションにも選ばれた名品、スパゲッティチェアでした。
Alias
アリアスのスパゲッティ アームレスチェア
W39.5×H84×D52cm¥66,000(カッシーナ・イクスシー青山本店)
背面と座面に使われているPVCコードがまるでスパゲッティのように見えることからこの名で呼ばれるようになりました。
私が選んだカラーはグレー本体にクリアのコードです。このチェアを購入した当初に住んでいた家はコンパクトな間取りだったのであまり窮屈な印象になるものを避けていたのですが、このカラーは正解でした。透明感のおかげで空間を圧迫することがないですし、印象も軽やかに感じます。大切に使っていたダイニングテーブルとの相性もピッタリでした。その後、2度ほど引っ越しを重ねておりますが、それぞれの部屋の特徴は全く違うにもかかわらず、必ずなじむのが素晴らしいなと思っています。
座り心地においてもとってもリラックスできて気に入ってます。というのもPVCコードは丈夫で復元力に優れているため、座ると荷重がかかる部分が適度に伸びていき体をホールドしてくれるため、安心して体を委ねられる構造になっているのです。長時間座っていても疲れることがありませんので、自宅で仕事をするときなどもこのチェアに座ります。
使い勝手という観点よりも、目に飛び込む印象に重きを置いた選び方ではありましたが、実際の使い心地も申し分ありません。間違いなく、この先長い年月を一緒に過ごすチェアです。
※掲載内容は発行時点の情報です。
[LaLa Begin 2023年 8-9月号の記事を再構成]illustration : Yoshifumi Takeda