週末は、踊るアートを観に行こう。 3人の振付家が描く、3つの世界――スターダンサーズ・バレエ団《THREE VISIONS》

映画館で一本の映画を楽しむ。美術館でお気に入りの作品を見つける。そんな休日の選択肢に、舞台鑑賞を加えてみるのはいかが?
バレエといえば、チュチュにトウシューズ、優雅なクラシック音楽……。そんなイメージが先行しがちですが、その表現世界は実に自由で多彩。既成の美意識を揺さぶる現代アートのような斬新さもあれば、一本の映画を観終えたあとのような深い余韻を残す作品も。言葉に頼らず、身体の動きによって生み出される舞台には、私たちの想像を超える豊かな表現の可能性が広がっています。
そんなダンスの奥深さに触れられるのが、11月7日(土)・8日(日)に東京芸術劇場で上演される、スターダンサーズ・バレエ団の《THREE VISIONS》。世界的振付家ウィリアム・フォーサイス、ドイツを拠点に活躍してきた森 優貴、そして同団の常任振付家・鈴木稔。3人の個性が光る作品を一度に楽しめる贅沢な公演です。
『N.N.N.N.』

©Kiyonori Hasegawa
まず注目したいのが、現代バレエの歴史を大きく変えた振付家、ウィリアム・フォーサイスの『N.N.N.N.』。舞台に登場するのは、4人の男性ダンサー。彼らの身体が、時に複雑に絡み合い、時に驚くほどのスピードで動き出します。物語を追いかけるのではなく、身体が描き出す線や形、その変化を楽しむ。まるで動く彫刻やインスタレーションを眺めているような感覚を味わえるはずです。
『Traum-夢の中の夢-』

©Kiyonori Hasegawa
続いては、ぐっと文学的な世界へ。ドイツの劇場で舞踊芸術監督を務めるなど、ヨーロッパで活躍してきた森 優貴が手がける『Traum-夢の中の夢-』は、アメリカの作家エドガー・アラン・ポーの詩「A Dream Within a Dream」から着想を得た作品です。夢の中で、さらに夢を見る。そんな幻想的なタイトルが示すように、舞台では過去の記憶や喪失、現実と虚構の境界が繊細に描かれます。
小説を読むのが好きな人や、余韻の残る映画に惹かれる人にとってもおすすめ。
『Degi Meta Go-Go』

©Kiyonori Hasegawa
そして最後は、これまでの2作品とはまた違う、独創的な世界へ。スターダンサーズ・バレエ団の常任振付家、鈴木 稔による『Degi Meta Go-Go』は、機械的なノイズミュージックと鋭い身体表現が交錯する異色作。音楽を手がけるのは、テレビドラマ『世にも奇妙な物語』のテーマ曲「ガラモン・ソング」で知られる作曲家・蓜島邦明です。
鈴木氏は、人気ゲームを舞台化し、未だ絶大な人気を誇る『バレエ・ドラゴンクエスト』等を手がけてきた振付家。『Degi Meta Go-Go』も、1997年の初演以来、海外でも高く評価されてきた作品で、音と身体がぶつかり合うような、スピード感あふれるパフォーマンスに注目です。
お気に入りの一作に出会う、という楽しみ
今回の《THREE VISIONS》は、3つの独立した作品を一度の公演で上演する「トリプル・ビル」と呼ばれるスタイル。それぞれの世界観を見比べられるのはもちろん、「この作品が好き!」「この動き、なんだか面白い」と、自分の好みを発見できるのも魅力です。音楽に身を委ねてもいいし、ダンサーの身体能力に驚いてもいい。衣裳や照明、舞台全体の美しさに見入るのも、もちろん自由。美術館で一枚の絵に心を奪われるように、劇場でも、思いがけない瞬間に出会えるかもしれません。
芸術の秋。いつもの映画館や美術館から少し足を延ばして、劇場へ。
まだ知らない「踊るアート」の世界を、のぞいてみませんか?
スターダンサーズ・バレエ団《THREE VISIONS》
公演日時:2026年11月7日(土)・8日(日)14:00開演/13:15開場
13:40-総監督小山久美のプレトーク
会場:東京芸術劇場 プレイハウス(東京都豊島区西池袋1-8-1)公演詳細・チケット情報
スターダンサーズ・バレエ団公式サイト https://www.sdballet.com/p/2026ThreeVisions/